久保駒吉商店の茶筅に関しまして
by 森一馬3月10日19時より久保駒吉商店の侍ジャパンカラーをイメージした限定色糸茶筅・真を販売いたします。
それに伴い茶筅に関しまして大切なお知らせです。
現在、茶筅の原材料である「淡竹(はちく)」が全国的に非常に厳しい状況となっており、今回の入荷分より価格を見直させていただくことになりました。
茶筅に使われる淡竹は、竹の中でも限られた種類で、さらに茶筅に適した部分はごくわずかです。およそ1.5mほどの竹一本から、実際に茶筅に使える部分はせいぜい二本ほど。そこから油抜きや乾燥などの工程を経て、更に数年寝かせてようやく素材となりますが、竹は非常に繊細で、加工の途中で割れてしまうことも少なくありません。一本の茶筅が出来上がるまでには、見えないところで多くの手間と素材の選別が積み重なっています。
そして今、日本各地で竹の花が一斉に咲く現象が起きており、白竹の竹林が壊滅的な状態になっています。竹はおよそ百年に一度花を咲かせると言われており、花が咲くと地下茎でつながっている根の一帯がまとめて枯れてしまいます。そのため、同じ根から広がっている竹林が一斉に衰えてしまい、今回まさにその現象が各地で同時に起きているようで、白竹の確保が非常に困難な状況となっています。さらに黒竹も同様に価格が高騰しております。
枯れた竹林はやがて種から再生すると言われていますが、百年に一度の現象でもあり、どれほどの年月で元に戻るのかははっきりとは分かっていません。また、若い竹は柔らかすぎて茶筅には使えないため、材料として使える竹が育つまでには相当の時間が必要になります。
さらに、伝統工芸としての高山茶筌を作る職人は、現在奈良・高山にわずか十数名ほどしかいません。その中で今は職人たちでみんなで協力して全国を回り、茶筅に使える竹を探している状況だそうです。
茶筅を作るための道具についても状況は厳しく、専用の道具を作っていた金物屋もそういった道具を作らなくなっており、久保さんは道具を自ら作りながら制作を続けています。
一方で、世界的な抹茶ブームの影響で高山茶筌の需要は急激に高まっています。しかし原材料の不足と価格の高騰が重なり、作り手にとっては非常に厳しい時代になっています。
そうした背景を受け、窯と土でも今回の入荷分より価格を変更させていただきます。とはいえ、茶筅は日々の茶の湯で使われる消耗品でもあります。本来であればさらに値上げせざるを得ない状況ではありますが、できるだけ使い続けていただける価格に留めたいという思いもあります。
一本一本が、限られた素材と職人の手仕事から生まれています。
ぜひ大切に使っていただけましたら嬉しく思います。
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